第2章 虎杖悠仁
【お邪魔虫】
任務帰り。呪霊を祓い終えた虎杖は、大きく息をついた。
「はぁー、疲れた…」
隣を歩くロロは苦笑いする。
「今日は大変だったね」
「でも、一緒だったから何とかなった!」
虎杖はいつものように笑う。その笑顔につられて、ロロも自然と笑みがこぼれた。帰り道は人通りも少く、夕焼けが2人を赤く染めている。
「なぁ」
虎杖が真剣な声を出す。
「なに?」
「今日さ、ありがとう」
照れくさそうに頭をかく虎杖。
「ロロがいたから頑張れた」
「私もだよ」
「その…、少しだけ近くにいてもいい?」
ロロは頷くと、虎杖は安心したように笑い、そっと距離を縮める。あと少し。その瞬間だった。虎杖の左目の下に宿儺の口が現れた。
「ほう。ようやくか」
「げっ!宿儺ァ!?」
「甘ったるい空気に飽きた」
「空気読めよ!」
「読んだから出てきた。小僧の顔、実に間抜けだ」
「誰のせいだよ!」
「あと一歩だったな。惜しかったではないか」
「うるさい!」
「続けろ。また邪魔してやる」
「宣言するな!」
ロロは思わず吹き出した。
「笑わないでくれよ〜」
と情けない声を上げる虎杖。宿儺はそれを見て満足そうに笑う。
「実に愉快だ」
「全然愉快じゃねぇ!」
しばらく言い合いを続けた後、宿儺の口はふっと消えた。静けさが戻る。虎杖は大きくため息をつき、照れ笑いを浮かべる。
「…あいつ、ほんと最悪」
「でも、ちょっと面白かったかも」
「えぇ!?」
ロロが笑うと、虎杖は困ったように笑い返す。
「次は絶対邪魔されないようにするから」
そう言って歩き出した虎杖の横顔は、夕日に照らされて少しだけ赤かった。2人は他愛ない話をしながら、高専への帰り道をゆっくり歩いていった。