第2章 虎杖悠仁
【推し】※虎杖2年生
ロロには、誰にも言っていない趣味がある。それは、全力で推しを愛でること。そして、その推しは。
「おはよう!」
朝から元気いっぱいに笑う虎杖悠仁だった。今日も笑顔が百点満点。心の中は大騒ぎなのに、表情だけは必死に平静を装う。虎杖が通り過ぎると、ロロは小さくガッツポーズをした。
昼休み。ロロはノートを開き、誰にも見られないようにこっそり文字を書いていた。
『今日の虎杖悠仁』
・朝の笑顔、最高。
・挨拶の声が元気で今日も生きられる。
・任務で後輩を気遣っていて尊い。
・今日もカッコイイ。
書き終えたところで、不意に影が差す。
「何書いてるの?」
「ひゃあっ!」
慌ててノートを閉じる。目の前には虎杖本人。終わった。
「そんなに隠すと気になるんだけど」
「な、なんでもありません!」
虎杖は困ったように笑う。
「秘密?」
ロロは観念した。
「…実は」
「うん」
「私、オタクなんです」
「オタク?」
「はい」
ロロは恥ずかしそうに続ける。
「好きな人のいいところを見つけたり、記録したり、気づいたら応援しちゃうタイプで…」
虎杖は真剣に聞いている。
「その…」
ロロは深呼吸をして言った。
「その推しが、虎杖君なんです!」
「俺?」
「…はい」
「だから毎日見てたの?」
「…はい」
「メモも?」
「…はい」
「今日も?」
ロロは頷く。虎杖は少し驚いた後、照れくさそうに笑う。
「なんか恥ずかしいな」
「ご、ごめんなさい!」
ロロが慌てると、虎杖は首を横に振った。
「謝らなくていいよ」
「え?」
「そんなふうに見てもらえてるなんて思わなかった」
虎杖は笑顔のまま続ける。
「じゃあ、明日も期待を裏切らないように頑張る」
その言葉だけで、ロロの胸はいっぱいになる。嬉しさのあまり固まるロロを見て、虎杖は思わず笑った。
「その反応、本当に面白いな」
ロロは顔を真っ赤にしながら、小さく呟く。
「…だって、推し本人に笑われるなんて思ってなかったから」
その日もまた、ロロの『推し日記』には新しいページが増えるのだった。