第1章 五条悟
【幼馴染】※中学生の五条
中学生になった五条は、昔よりずっと扱いづらくなった。顔がいい。頭もいい。何をやらせても器用。そのせいで、本人の自信はどんどん膨らんでいた。
「悟ってさ。年々、性格悪くなってない?」
「今さら」
「認めるんだ」
「だって俺だし」
「意味分かんない」
「俺が優しくする必要ある?」
「ないと思ってるところが性格悪い」
「でも、困ってる人は助けるよ」
「それは知ってる」
ロロはため息をつく。
「でも、言い方が最悪」
「正論でしょ」
「正論なら何言ってもいいと思ってるの」
五条が黙る。図星だった。
「悟って、本当に自分中心だよね」
「俺、そんなに?」
「かなり」
即答されて、五条は不満そうな顔をする。
「ロロ、俺にだけ厳しくない?」
「悟が私にだけ調子乗るから」
「俺、誰にでもこうだけど」
「他の人にはもっと猫かぶってる」
「…見てるね」
「幼馴染だからね。それと、人を試すの止めた方がいいよ」
「何の話?」
「分かってるくせに」
ロロは知っている。五条は相手の反応を見る。どこまで許せて近づけるか。無意識に試している。
「嫌われるよ」
「俺が?」
「うん」
「ありえない」
「そういうところ」
「ロロさ、俺の事嫌い?」
ロロは考える。
「面倒」
「嫌い?」
「面倒」
「答えになってない」
「面倒だけど、放っておけない」
五条は驚いた顔をした。
「…変なの」
「悟に言われたくない」
「ひどい」
「事実」
生意気で自信満々で人を振り回す五条。
「悟」
「なに?」
「その性格、直した方がいいよ」
「無理。だって俺だし」
「最悪」
「でも、ロロが言うなら少しくらい考える」
ロロは驚く。
「珍しい。悟が人の意見聞くなんて」
「ロロだから」
さらっと言われて、ロロは黙る。五条は性格が悪い。口も悪いし素直じゃない。でも、ロロの前だけは、ほんの少しだけ普通の少年だった。