第1章 五条悟
【カフェ】※学生五条
任務帰り、五条はいつものカフェに立ち寄った。
「いらっしゃいませ」
聞き慣れた声に、五条が笑う。
「やっぱりいた」
「毎回来ますね。五条さん」
「俺が来るの迷惑?」
「そうは言ってません」
ロロは小さく笑った。五条が呪術高専の生徒で、特別な存在だということを知っていても、ロロの態度は変わらない。それが、五条には少し新鮮だった。
「おすすめは?」
「今日はこのケーキが人気です」
「じゃあ、それ」
「決めるの早いですね」
「ロロがおすすめしたから」
さらりと言われて、ロロは少し驚く。
「五条さんって、そういうこと誰にでも言うんですか?」
「言わないよ。俺、興味ない相手に毎日会いに来るほど暇じゃないし」
いつもの自信満々な言い方。
「五条さんって不思議ですね」
「よく言われる」
「自分で言うんですね」
「だって本当だし」
そう言って笑う五条。最強で何でもできて、周りから特別扱いされる少年。でも、ロロは五条をただの1人の客として接していた。
「五条さん」
「ん?」
「ちゃんと寝てますか?」
突然の言葉に、五条は目を丸くする。
「何それ」
「少し疲れて見えたので」
「俺が?」
「はい」
五条は少し黙った。強さを褒められることは多い。でも、疲れを心配されることは少ない。
「…ロロって変なところ見てるよな」
「そうですか?」
「普通は俺の強いところ見るでしょ」
「五条さんは、強いだけの人じゃないと思うので」
その言葉に、五条は少しだけ照れたように笑う。
「ロロってさ、俺のこと気になってる?」
「え?」
「俺は気になってるけど」
あまりにも自然に言われて、ロロは固まる。五条は楽しそうに笑った。
「その顔、初めて見た」
「からかってます?」
「半分」
「半分なんですね」
「残り半分は本気」
いつもの軽い口調。でも、その目は真っ直ぐだった。それから五条は任務帰りだけじゃなく、時間があればその店へ向かうようになった。甘い物を食べるため。そして何より、ロロと話すために。