第2章 虎杖悠仁
【交換日記】※中学生の虎杖
交換日記が始まったのは、中学2年の春だった。
『今日、数学で居眠りした』
『先生に当てられてたよ』
『見てたの!?』
『ずっと見てたよ』
そんな他愛もないやり取りを毎日続けていた。喧嘩した日も、交換日記だけは止まらない。
『ごめん』
『…許す』
その一言だけで仲直りできた。中学三年になり、卒業が近づく。ある日、交換日記を開くと残りはあと1ページだった。
『もう最後かあ』
虎杖の字を見た瞬間、胸が少し苦しくなる。卒業しても同じ高校へ進む。会えなくなるわけじゃない。それでも『最後』という言葉が寂しかった。ロロは返事を書く。
『2冊目にすればいいじゃん』
翌日、昼休み。
「交換日記見た?」
「見た。…実は」
虎杖はリュックから新しいノートを取り出す。表紙には『交換日記②』。ロロは思わず笑ってしまった。
「本当に買ってる」
「終わらせたくなかったから」
その言葉に胸が高鳴る。
放課後、最後のページを書く為に教室に残る2人。ロロがペンを走らせていると、虎杖が隣に座る。
「なあ」
「ん?」
「最後くらい直接話さない?」
静かな教室。虎杖は少しだけ緊張したように笑う。
「交換日記書くたびにさ」
「うん」
「返事があるのが嬉しくて、学校来るの楽しみだった」
ロロはノートを閉じる。
「私も」
その一言に、虎杖はほっとしたように笑った。
「あとさ」
耳まで赤くしながら、虎杖は頭をかく。
「俺、ロロのことが好きだ」
突然の告白に、ロロの心臓が大きく跳ねる。ロロは照れ隠しにノートを開き、最後のページを見せた。そこには…。
『私も悠仁が好き』
虎杖は目を丸くした後、照れたように笑った。2人で顔を合わせて笑う。虎杖は新しいノートをロロへ差し出した。
「これからも交換日記、続ける?」
「うん」
「でも」
ロロは首を傾げる。虎杖は照れながらロロの手をそっと握る。
「『好き』だけは、もうノートじゃなくて直接伝える」
その言葉にロロは笑顔で頷く。最後のページは終わりじゃない。2人の新しい1ページが、今、始まる。