第2章 虎杖悠仁
【先輩と後輩】※虎杖2年生
任務を終えて重い足取りで自分の部屋へ向かうと、ドアの前に座り込む人影が目に入った。
「…先輩?」
「お」
虎杖は立ち上がると、安心したように笑った。
「おかえり」
「え、もしかしてずっと待ってたんですか?」
「2時間くらい?」
「2時間!?」
「途中で帰ろうと思ったんだけどさ」
照れくさそうに頭をかきながら笑う。
「『おかえり』は直接言いたくて」
ロロの胸がきゅっと締め付けられる。
「はい」
虎杖は背中に隠していた花束を差し出した。オレンジ色のガーベラに白色のカスミソウ。派手じゃない小さな花束。
「今日も生きて帰って来たロロに。任務前に花屋の前を通ってさ。帰ってきたら渡そうって決めてた」
ロロは花束を受け取ると、大切そうに胸へと抱く。
「ありがとうございます」
「うん」
虎杖はロロの顔を見つめる。
「無理して笑わなくていいよ」
その一言で、堪えていたものが揺らいだ。
「怖かったんだろ」
ロロは小さく頷く。
「あと少しで、死ぬかと思いました」
声が震える。
「でも、先輩に心配かけたくなくて…」
言い終わる前に、ふわっと温かい腕に包まれた。
「十分頑張った」
耳元で聞こえる優しい声。
「帰って来てくれただけで百点」
ロロはそっと虎杖の制服を握る。
「…先輩」
「ん?」
「泣いてもいいですか」
「うん。今日はいっぱい泣いていいよ」
背中を優しくさする手が心地いい。
「俺の前では強がらなくてもいいから」
ポロポロと涙がこぼれる。虎杖は何も急かさず、ただ静かに抱きしめていてくれた。暫くして落ち着くと虎杖は少し体を離し、ロロの涙をそっと拭う。
「やっと笑った」
「泣いたばかりですよ」
「泣いた後に笑えるなら、大丈夫」
そう言って、虎杖は花束を見つめる。
「その花さ、枯れたら捨ててもいいから」
「でも」
虎杖は照れたように笑った。
「また渡す。任務から帰って来るたびに。何年先でも」
ロロは思わず笑ってしまう。
「そんなに花束ばかり貰ったら、部屋がお花屋さんになりますよ」
「いいじゃん」
虎杖はロロの頭を優しく撫でた。