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短編

第2章 虎杖悠仁


【生きろ】※死ネタ


雨の日が嫌いになった。あの日もこんな雨だった。任務の帰り道、隣で笑っていたロロはもういない。

『悠仁、帰ったら飯行こうよ』

その約束は最後まで果たされなかった。

「…ごめん」

虎杖は何度、その言葉を口にしただろう。冷たくなったロロの手を握っても、目は開かない。
もっと早く動けていたら。もっと強ければ。自分が代わりに傷を負っていれば。
後悔だけが胸の奥で何度も繰り返される。夜になると夢を見る。

『悠仁!』

振り返ると、血だらけのロロが笑っていた。

『悠仁、生きてね』

その声で目が覚める。息が苦しい。汗で濡れたシャツを握りしめながら、天井を見つめる。

「…なんで俺なんだよ」

答える人はいない。それでも朝は来る。

任務へ向かい戦う。仲間が傷つきそうになるたび、体が勝手に動いた。

「虎杖、下がれ!」

伏黒の声も聞こえない。誰かを失うくらいなら、自分が傷つけばいい。そんな戦い方を続けた。任務後、伏黒が静かに言う。

「お前、死に急いでるだろ」

「違う」

そう答えた声は、自分でも驚くほど弱かった。夕暮れ。1人になった屋上で、ポケットから写真を取り出す。任務帰りに撮ったロロとの1枚。肩を組んで、バカみたいに笑っている。

「あの時さ…」

写真に向かって話しかける。

「俺、お前に助けられたんだよな」

最後の瞬間、ロロは虎杖を突き飛ばし自分が攻撃を受けた。あれが逆だったら。死んでいたのは自分だった。

「ごめん」

写真を握る手が震える。

「生き残ったのが俺で、ごめん」

涙が一滴、写真に落ちた。風が吹き、雲の隙間から夕日が差し込む。ふと、ロロの最後の笑顔が浮かぶ。

『ちゃんと生きて』

聞こえるはずのない声だった。後悔は消えない。あの日を忘れることはない。生き残った虎杖にできることは一つだけ。

「…もう誰も死なせない」

その誓いを胸に、虎杖は静かに歩き出した。
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