第2章 虎杖悠仁
【背の高い先輩】
任務を終えた虎杖が、少し疲れた顔で廊下を歩いていた。その時、頭の上にふわりと紙飛行機が落ちてきた。
「…ん?」
拾い上げて開くと丸い字でこう書かれていた。
『お疲れ様。屋上に来て。背の高い先輩より』
「先輩だ」
虎杖はすぐに笑顔になり、階段を駆け上がった。屋上では、ロロがフェンスにもたれて空を見上げていた。長い手足。虎杖より少し高い身長。
「来た」
「もちろんっす。先輩に呼ばれたら来ますよ」
ロロはくすっと笑い、ポケットから缶を2本取り出す。
「ご褒美」
「やった!」
缶を受け取った虎杖は、嬉しそうにロロの隣に立つ。
「…やっぱ先輩、高いなぁ」
「そう?」
「うん。俺がちょっと見上げるくらい」
そう言って笑う虎杖の頭を、ロロは優しくポンポンと撫でた。
「今日もよく頑張った」
「…っ」
一瞬で虎杖の耳が赤くなる。
「その撫で方、反則っす」
「嫌だった?」
「嫌なわけないです」
照れ笑いを浮かべながら、虎杖は少しだけロロに近づく。
「先輩の手、落ち着く」
その一言があまりにも素直で、ロロまで照れてしまう。
「…もう一回」
「え?」
「撫でて下さい」
「甘えん坊」
「先輩限定です」
ロロは笑いながら、もう一度ゆっくりと虎杖の髪を撫でる。虎杖は気持ちよさそうに目を細め、そのまま少しだけロロの肩に寄りかかった。
「今日だけ、充電させて下さい」
「少しだけね」
「5分」
「長い」
「じゃあ、3分」
「ふふ、しょうがないな」
ロロがそう言うと、虎杖は安心したように笑う。虎杖は照れくさそうに紙飛行機を一つ差し出した。
「俺も作ってみたんです」
開くと、そこには少し歪んだ字で書かれていた。
『背の高い先輩が、一番好きです』
思わず息を飲むロロ。
「…これって」
「告白です」
真っ赤になりながらも、虎杖は真っ直ぐロロを見つめる。
「先輩が撫でてくれるたび、近くにいてくれるたび、好きが増していくんです」
沈黙の後、ロロは照れ隠しに虎杖の額を軽く小突いた。
「…ずるい」
「返事聞いてもいいですか?」
「紙飛行機なていらないくらい、これからは隣で伝えるよ」