第1章 五条悟
【フィクションとファンタジー】※学生五条
「ねえ、悟」
放課後の教室。ロロが本を抱えたまま、椅子に座る五条に尋ねる。
「フィクションとファンタジーって、どう違うの?」
「ん?そんなこと気になるの?」
五条は少し笑って、ロロの本を覗き込む。
「じゃあ、俺が教えてあげる」
黒板に2つの言葉を書く。フィクションは創作された物語全般。ファンタジーはフィクションの中のジャンルの1つ。
「フィクションっていうのは、現実に起きたことをそのまま記録したものじゃなくて、作者が作った物語のこと。恋愛でも、ミステリーでも、SFでも、ファンタジーでも、皆フィクションになり得る」
「じゃあ、ファンタジーは?」
「魔法とか妖精、ドラゴン、異世界みたいな、現実には存在しない要素を扱う物語だね」
「つまり、ファンタジーはフィクションの一部?」
「そう。よくできました」
五条は嬉しそうに笑う。
「例えば、普通の高校生が恋をする話なら、フィクションだけど必ずしもファンタジーじゃない。でも、魔法使い同士が恋をする話なら、フィクションでありファンタジー」
「分かりやすい!」
ロロが笑うと、五条は満足そうに頷いた。
「ちなみに、俺がロロにこれは夢じゃなくて現実だよって言ったら?」
「…?」
「俺とロロが一緒にいる、この時間」
五条は少し照れたように笑う。
「物語ならフィクション。でも、ロロが俺と過ごしてる今はちゃんと大切な時間でしょ?」
「…悟、急に何言ってるの」
「だって、甘い授業にしたかったんだもん」
そう言って五条は、ロロの頭を優しく撫でた。
「覚えておいて。ファンタジーは物語のジャンル。でも、ロロと俺の時間は、誰かが作った物語じゃない」
「…ずるい」
「何が?」
「そんなこと言われたら、授業の内容よりそっち覚えちゃう」
「それなら大成功」
五条は楽しそうに笑った。