第1章 五条悟
【恋愛事情】※学生五条
「ねえ、ロロって俺のこと好きでしょ?」
開口一番、五条はそう言った。
「…なんでそうなるの?」
「顔に書いてあるから」
「書いてない」
「書いてるって。俺、目いいから」
にやにや笑いながら、五条はわざと距離を詰める。
「で?いつ告白してくれるの?」
「しないけど」
「えー、つまんない」
口ではそう言いながら、明らかに機嫌が悪くなる。実のところ、五条は恋愛経験がほとんどない。けれど、それを悟られるのが何より嫌だった。だから、好きな相手ほど意地悪になる。
「…じゃあ、俺から言ってあげよっか?」
「何を?」
「ロロのこと好きって」
くすくす笑ったあと、五条はふいに目を逸らした。耳だけ、ほんの少し赤い。
「…まあ、俺も結構緊張してるけど」
「え?」
「聞こえなかったことにして」
「珍しい」
「うるさいな」
いつもの余裕たっぷりな笑顔。けれど、その手だけは落ち着かず、何度もポケットの中で動いていた。
「…ロロだけだからね。俺がこんなダサいの」
「性格悪いくせに?」
「うん。性格悪いよ」
五条は笑う。
「でも、ロロにはもっと性格悪くなるから。覚悟して?」