第1章 五条悟
【許可】
「ご家族の許可は、とってあるから。」
突然そう言われて、ロロは目を瞬いた。
「…え?」
目の前の五条は、いつものように余裕そうな笑顔を浮かべている。
「だから、ロロのこと。ちゃんと迎えに行く準備はできてるってこと」
「待ってください。何の話ですか?」
「何って、僕とロロの話」
あまりにも自然に言うから、頭が追いつかない。
「普通、先に本人に聞きません?」
ロロが呆れると、五条は少しだけ目を細めた。
「聞いたよ。」
「いつですか?」
「今」
ロロの反応に、五条は楽しそうに笑う。
「ロロって本当に面白いね」
いつもなら腹が立つその笑顔。でも、次の言葉で空気が変わった。
「でも、ふざけてないよ」
五条の声は、いつになく真剣だった。
「ロロの家族には話した。ロロを大切にするって。僕はたぶん、普通の人より面倒な存在だし、危険な世界にいる。だからこそ、勝手に連れて行くなんてしたくなかった」
ロロは黙って五条を見る。五条は最強で、何でも1人で背負える人だと思っていた。けれど今、目の前にいる五条は違った。大切な人を守るために、きちんと頭を下げる人だった。
「…五条先生が、そんなこと言うなんて」
「失礼じゃない?」
「だって、いつも自信満々だから」
「まあ、僕最強だし?」
いつもの調子に戻った五条に、思わず笑ってしまう。五条はその笑顔を見て、優しく微笑んだ。
「その顔、好き。だから、これからも隣で見てたい。ロロが嫌じゃなければ」
最強の呪術師が、珍しく答えを急かさない。ロロの気持ちを待っている。
「…ずるいですね」
「何が?」
「そんな言い方されたら、断れないじゃないですか」
五条は嬉しそうに笑う。
「じゃあ、決まり?」
「まだです」
「えー」
「でも…」
ロロが続ける前に、五条は少しだけ嬉しそうに目を細めた。
「うん、聞くよ。ロロの答えなら、何でも」
その言葉が、誰よりも優しく響いた。