第1章 五条悟
【顔面偏差値】※学生五条
休日の繁華街。
「悟、人多いね」
「そりゃ人気スポットだから」
隣を歩く五条は、サングラスをかけていても目立っていた。白い髪にすらりとした長身。すれ違う人たちが何度も振り返る。
「あの人すごくかっこよくない?」
「モデルさんかな?」
そんな声が聞こえてきても、本人は気にも留めない。
「ほら」
五条が得意げに笑う。
「今日も俺の顔面偏差値が街を騒がせてる」
「また始まった」
「事実でしょ」
「自分で言う?」
「ロロだって思ってるくせに」
悔しいけれど、隣を歩くだけで視線を集めるくらいには格好いい。
「認める」
「素直でよろしい」
五条は満足そうに笑うと、不意にロロの手を握った。
「え、急に」
「見せつけ」
「何を?」
「美男美女カップルの」
「誰が美女」
「ロロ」
思わず立ち止まる。
「からかわないで」
「からかってない」
五条は少しだけ屈み、サングラスの奥の青い瞳でまっすぐ見つめてくる。
「さっきからさ、皆俺を見てるけど」
五条はロロの手を軽く持ち上げた。
「俺はロロしか見てない」
胸が熱くなる。
「そういうことを平気で言うから性格悪い」
「褒め言葉?」
「違う」
照れて顔を背けると、五条はくすっと笑った。
「その顔」
「見ないで」
「無理。世界一可愛いから」
耳まで真っ赤になるロロを見て、五条は満足そうに笑う。
「結局さ、顔面偏差値なんてどうでもいい」
「え?」
「どれだけ顔が良くても、ロロが隣にいて笑ってくれなきゃ意味ないから」
そう言って、指を絡める。周りの視線なんて気にしないまま歩き出す五条の横顔は、相変わらず誰よりも目を引いた。