第1章 五条悟
【キスマーク】※学生五条
任務を終え、高専の寮へ戻った夜。ソファに並んで座ると、五条は何も言わずロロの肩へ寄りかかった。
「疲れた?」
「まあね。でもロロといると回復する」
そんな軽口を笑って流そうとした瞬間、五条の長い指が顎をそっと持ち上げる。
「…悟?」
「今日さ、補助監督がロロに『可愛いね』って言ってた」
「え? あれは挨拶みたいなものだよ」
「俺は気に入らない」
「嫉妬?」
「そう」
あっさり認めるところが、いかにも五条らしい。
「俺だけの特別だって、ちゃんと分からせたい」
言い終わる前に唇が重なった。優しいキスが何度も繰り返され、息が乱れ始めた頃。
「ん…」
五条は唇を離すと、ロロの首筋へゆっくり顔を寄せる。
「ちょ、ちょっと待っ」
言葉は最後まで続かなかった。首元へ短い口づけが落ちる。ほんの数秒。けれど離れた頃には、肌に小さな赤い跡が残っていた。
「悟…!」
鏡を見たロロは顔を真っ赤にする。
「キスマーク…!」
「うん」
「明日どうするの!?」
「タートルネックでも着れば?」
悪びれる様子もなく笑う五条に、思わず胸を叩く。
「最低!」
五条はその手を軽く包み込み、指先へ口づける。
「これを見て思い出してほしい」
「何を?」
「俺が、ロロを世界で一番好きだってこと」
その真っ直ぐな声に、さっきまでの怒りはどこかへ消えてしまう。
「…ずるい」
「うん、ずるいよ」
満足そうに笑った五条は、もう一度ロロを抱き寄せた。
「消えたら、また付けてもいい?」
「だめ。恥ずかしいもん」
すると、五条は耳元でくすっと笑う。
「じゃあ、見えない場所にしようか」
「それもだめ!」
慌てるロロを見て、五条は声を上げて笑った。
「冗談だよ」
そう言って額へ優しくキスを落とす。
「印なんてなくても、ロロは俺の大切な人だから」
照れ隠しに五条の胸へ顔を埋めると、五条は優しく背中を撫でながら、小さく幸せそうに笑っていた。