第1章 五条悟
【アクリルスタンド】※学生五条
「…また増えてる」
ロロの部屋に入った五条は、棚いっぱいに並ぶ自分のアクリルスタンドを見て思わず吹き出した。制服姿、私服姿、笑顔、真顔、デフォルメ。どこを見ても五条がいる。
「俺コーナーできてるじゃん」
「…見ないで」
「なんで?」
「恥ずかしいから」
ロロが慌てて棚を隠そうとする。
「ふーん」
1つ手に取り、まじまじと眺める。
「これ、よくできてるねぇ」
「返して!」
「やだ」
高く掲げられたアクリルスタンドには手が届かない。ぴょんぴょん跳ねるロロを見て、五条は楽しそうに笑う。
「そんなに大事?」
「大事!」
「俺より?」
その一言で、ロロは固まった。
「え…?」
アクリルパネルを軽く揺らしながら、五条はわざと拗ねた顔をする。
「俺、本物なのになぁ」
「そ、それは…」
言葉に詰まるロロを見て、五条は急に距離を詰めた。
「じゃあさ」
ロロの手を握り、自分の胸に重ねる。
「こっちは?」
ドクン、と心臓の音が伝わる。
「ちゃんと動いてる」
「…うん」
「笑うし、喋るし、ロロの名前も呼べる」
耳元で低く囁かれ、ロロの顔は真っ赤になる。
「アクリルスタンドは君を抱きしめられない」
そう言うと、五条はロロを腕の中へ閉じ込めた。
「でも俺はできる」
ぎゅっと抱き寄せられ、ロロは照れながら小さく笑う。
「…やっぱり本物が一番」
その一言で五条は満足そうに目を細めた。
「よし」
棚のアクリルスタンドを見渡しながら、悪戯っぽく笑う。
「今日から1個だけルール追加」
「ルール?」
「俺が来た日は、あいつらより先に俺を見て」
「え?」
「五条悟本人、最優先」
ロロが吹き出して笑うと、五条はその笑顔に軽くキスを落とした。
「コレクションも嬉しいけどさ。ロロの一番は、ちゃんと本物がいい」