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短編

第1章 五条悟


【カツラ】


「…悟」

「んー?」

休日。ソファでくつろぐ五条を見ながら、ロロは真剣な顔で切り出した。

「ずっと聞きたかったんだけど」

「うん?」

「その髪、カツラ?」

部屋が静まり返る。数秒後。

「…ぶふっ」

五条は腹を抱えて笑い始めた。

「なにそれ!初めて言われた!」

「だって、毎日あのトゲトゲだし。崩れないし」

「ひどくない?」

ロロは腕を組む。

「証拠を見せて」

「証拠?」

「引っ張る」

「待って待って、それ証拠の取り方が物騒!」

逃げようとする五条の襟を掴み、ロロは容赦なく髪をぐいっと引っ張った。

「いっ、痛っ!」

「…取れない」

「当たり前でしょ!」

さらに左右へ揺する。

「ほんとだ。本物なんだ」

「疑い深すぎる!」

五条は頬を膨らませると、仕返しとばかりにロロの頭をわしゃわしゃと撫でた。

「じゃあ今度は、ロロの番」

「私は本物!」

「知ってる。でも触りたい」

優しく髪を梳かれると、さっきまでの勢いはどこへやら、ロロは少しだけ照れてしまう。

「ねぇ」

「なに?」

「もし僕がカツラでも好きでいてくれる?」

「うん」

五条は目隠しの下で嬉しそうに笑った。

「よかった。じゃあ安心してハゲられる」

「そこは安心しないで」

「えー?」

「一緒に育毛剤探してあげる」

「未来まで面倒見てくれる彼女、最高じゃん」

そう言って抱き寄せられる。結局その日、ロロは何度も五条の髪を触って確かめた。

「やっぱりカツラじゃないけど、セットに1時間くらいかけてそう」

「実は、10分」

と、五条は得意げに笑った。
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