第1章 五条悟
【ぽっちゃり女子】
「五条先生、…この服、やっぱり似合わないですか?」
試着室から出てきたロロは、不安そうに問いかけた。少しぽっちゃりした体型を隠せる服を選んだつもりだった。五条はロロを頭からつま先まで見て、にやりと笑う。
「うん。似合わない。服がね」
ぽかんとするロロを見て、五条は肩をすくめる。
「ロロは、体型隠そうとしすぎ。布に逃げると余計に大きく見える」
「でも…」
「自信なさそうな顔までセットになってる。そっちのほうがもったいない」
言い方は相変わらず棘がある。
「五条先生って本当に性格悪いですね」
「知ってる」
悪びれもせず笑う五条は、別の服を手に取って押しつけた。
「これ着て」
「えぇ…」
渋々着替えて出てくると、五条は満足そうに頷く。
「ほら、こっちのほうが似合う」
「でも、お腹が少し…」
「誰がそこばっか見てるの?ロロは自分で欠点探しの天才になってるだけ。」
そう言ってロロの額を軽く指で弾く。
「僕なら、笑った顔のほうを見る」
「五条先生のそういうところ、ずるいです」
五条はいたずらっぽく笑った。
「僕は性格が悪いからね。ロロが、太ってるから無理って言うたびに否定したくなる」
「なんですか、それ」
「だって、ロロが勝手に自分を低く評価するの、なんか腹立つ」
一瞬だけ真顔になった五条だったが、すぐにいつもの笑みに戻る。
「ま、どうしても気になるなら運動くらい付き合ってあげるよ」
「先生が?」
「最強だからね。逃げても捕まえる」
「最悪…」
「褒め言葉?」
呆れて笑うロロを見て、五条は満足そうに口角を上げた。
「その顔。それが一番似合う」
相変わらず性格は悪い。けれど、その意地悪さの奥にある不器用な優しさだけは、隠しきれていなかった。