第1章 五条悟
【水着選び】
「夏だし、海でも行く?」
突然そんなことを言い出したのは五条だった。休日、ショッピングモールに来ていた。
「…で、なんで水着売り場なんですか?」
「海に行くなら水着いるでしょ?」
当然のように言う五条に、ロロはため息をつく。
「一人で選べます」
「却下。僕が選ぶ」
「なんでですか」
「僕のセンスを信じなよ」
そう言って手に取ったのは、露出の多い派手な水着。
「絶対着ません」
「えー、似合うと思ったのに」
「五条先生が見たいだけでしょう」
「バレた?」
悪びれず笑う五条から水着を奪い返す。
「普通のでいいです」
「普通ってつまらないじゃん」
次々に水着を持ってくる五条を無視し、ロロはシンプルな水色の水着を手に取った。
「これにします」
「うーん…」
腕を組んだ五条は、少しだけ不満そうだ。
「もっとロロらしいのあると思うけど」
「これが好きなんです」
その一言で、五条は口を閉じた。
「…そっか」
少しして、棚から白い薄手のパーカーを手に取る。
「じゃあ、これも」
「ラッシュガード?」
「うん。海風って意外と冷えるし、日焼け対策にもなる」
「ありがとうございます」
五条は少し照れくさそうに笑った。
「ロロが着たいものを着るのが一番だよ。さっきはからかって遊んでただけ」
珍しく素直な言葉に、ロロは思わず笑う。
「五条先生でも反省するんですね」
「失礼だなぁ」
「でも、一緒に選んでもらえてよかったです」
その一言に、五条は目を丸くした。
「そんなこと言われたら、海当日はサングラス外せないかも。眩しすぎて」
「それ、自分のせいじゃないですか」
「違う違う。君が可愛いから」
また軽口を叩く五条に呆れながらも、その日選んだ水着は、夏の一番のお気に入りになった。