第15章 日向翔陽
【幼馴染】
放課後、昇降口で日向を待っていると、女の子が日向に近づいた。
「日向くん、少し時間いい?」
「うん!」
いつもの明るい笑顔。けれど次の瞬間、女の子が頬を赤くして言った。
「…好きです。付き合ってください」
ロロは思わず足を止めた。幼い頃からずっと一緒だった幼馴染が、誰かに告白されている。胸が、少しだけ苦しくなる。
「…ごめん」
日向は申し訳なさそうに頭を下げた。
「気持ちは嬉しい。でも、俺、好きな人がいるんだ」
「…好きな人?」
女の子が尋ねる。日向は照れくさそうに笑って、ロロを見る。
「うん。ずっと前から好きだった人」
目が合った。慌てて視線を逸らす。告白が終わると、日向がこちらへ駆けてきた。
「待って!」
「…なに?」
「今の、聞いてた?」
「うん…」
「そっか…」
日向は耳まで赤くした。
「じゃあ、もう隠せないな」
「何を?」
「俺が好きなの、ロロだよ」
胸が大きく跳ねる。
「ずっと一緒だったから、言うのが怖かったんだ。幼馴染じゃなくなったら嫌だって思って」
日向は少し俯く。
「でも、今日みたいに誰かに告白されて…」
ぎゅっと拳を握る。
「ロロが誰かの隣に行っちゃうかもしれないって考えたら、絶対嫌だなって」
そして、まっすぐこちらを見る。
「俺、ロロが好き」
飾らない、ひたむきな告白。
「…私も、翔陽が好き」
一瞬、日向が固まる。
「…ほんと?」
「うん」
「やった…!」
顔いっぱいに笑って、日向はそっと手を差し出した。
「じゃあ、これからもずっと一緒な!」
その手を握る。
「もちろん」
「へへ…」
日向は嬉しそうに手を握り返した。幼い頃から繋いできた手。今日からは、恋人として繋ぐ手になった。