第13章 パンダ
【お見合い】
「…お見合い?」
待ち合わせ場所に現れたパンダは、目を丸くした。
「はい。今日、あなたと…」
「いや、聞いてはいたけどさ…俺、パンダだぞ?」
「知っています」
「そこ即答!?」
思わず笑うと、パンダは照れたように頭を掻いた。
「まあ、来てくれたってことは、少なくとも嫌われてはいないんだよな?」
「むしろ、会ってみたかったです」
「…そっか」
その一言で、パンダの声が少しだけ柔らかくなる。2人で向かい合って座り、お見合いらしく質問を始めた。好きなもの、苦手なもの、休日の過ごし方。
「好きな人のタイプは?」
何気なく尋ねると、パンダが固まった。
「それ、聞く?」
「お見合いですから」
「…一緒にいて楽しい奴。無理して喋らなくても、隣にいるだけで落ち着く奴かな」
「じゃあ、私はどうですか?」
「…かなりいいと思う」
「かなりですか?」
「今のところはな」
そう言って笑うパンダ。けれど帰り際には、少しだけ真剣な顔になった。
「今日は楽しかった」
「私も」
「…また会いたい」
「お見合いの続きですか?」
「いや」
パンダは首を横に振った。
「今度は、お見合いじゃなくてさ。俺が誘いたい」
大きな前足を差し出される。
「また会ってくれる?」
ロロはその手を握る。
「もちろん」
「よっしゃ!」
途端にパンダが嬉しそうに笑った。
「じゃあ次は、俺のおすすめの店に連れてく!」
「楽しみです」
「約束な」
繋いだ手を離さないまま、パンダは照れくさそうに呟いた。
「お見合い、してよかったかも」
その声があまりにも嬉しそうで、ロロまで笑ってしまった。