第13章 パンダ
【ぬいぐるみ】
任務のない休日。高専のソファでくつろいでいたロロは、膝の上にお気に入りのパンダのぬいぐるみ、パンタを乗せていた。
「パンタ、今日はいい天気だね」
頬をすり寄せて話しかけていると、廊下からパンダが顔を出す。
「…俺がいるのに、ぬいぐるみと会話してるのか?」
「パンダ先輩!」
ロロが嬉しそうに手を振ると、パンダは隣へどっかりと座った。
「パンタ、見て! 本物だよ!」
「その紹介の仕方はどうなんだ」
苦笑しながらも、パンダはパンタを指先でつつく。
「かわいいな」
「でしょ?」
「いや、パンタじゃない。」
ロロがきょとんと目を丸くする。
「ぬいぐるみを抱えて、そんなに嬉しそうに笑ってるロロのこと」
その一言でロロの顔は耳まで赤く染まった。
「も、もう…!」
照れ隠しにパンタをぎゅっと抱きしめるロロを見て、パンダは思わず笑う。
「そんなに抱きしめるなら、俺も混ぜろ」
「え?」
「ほら」
大きな腕がそっとロロを包み込む。パンタは2人の間に挟まれ、小さなクッションのようになった。
「これじゃパンタが苦しいよ」
「じゃあ貸して」
パンダはパンタを脇へ置くと、代わりにロロを優しく抱き寄せた。
「これで解決」
低く穏やかな声に、ロロはふふっと笑う。
「パンダ先輩、甘えん坊」
「否定はしない」
「パンタに嫉妬した?」
「少しだけ」
「安心して。パンタはかわいいけど、一番安心するのは先輩の腕の中だから」
その言葉に、パンダは目を細める。
「それなら勝ちだな」
「何に?」
「ぬいぐるみに」
2人で顔を見合わせて笑う。窓から吹き込むやわらかな風に揺られながら、ロロはもう一度パンダの腕に寄り添った。
「今度、パンタのお友達も買いに行こう?」
「いいぞ。でも一つ条件」
「なに?」
「帰りは俺ともちゃんと手をつなぐこと」
「もちろん!」
ロロが笑顔で指を絡めると、大きな手が優しく握り返す。
「かわいいものが二つ並んで歩くな」
「2つ?」
「パンタとロロ」
照れ笑いを浮かべるロロの頭を、パンダはいつものようにぽんぽんと撫でた。