• テキストサイズ

短編

第11章 真人


【悪い奴程魅力的】


真人は、自分が好かれるような存在ではないことを知っていた。人の心を弄ぶ。 相手の苦しむ姿を楽しむ。 優しさなんて、ただの真似事。

「俺ってさ、最低だよね」

ある日、真人は笑いながら言った。ロロは少し考えてから頷く。真人は楽しそうに笑う。

「普通は否定するところじゃない?」

「だって、本当のことだから」

その返事に、真人は少しだけ目を細めた。

「じゃあ、なんで俺のそばにいるの?」

「不思議だから」

「俺が?」

「うん」

ロロは真人を見る。

「悪い奴なのに、どうしてそんなに楽しそうなのかなって」

真人は一瞬黙った。

「ロロって変だね」

「真人に言われたくない」

その言葉に、真人は声を上げて笑った。

「俺のこと、怖くないの?」

「怖いよ」

「じゃあ、嫌い?」

ロロは首を横に振る。

「嫌いじゃない」

「…なんで?」

「悪いところも含めて、真人だから」

真人の笑顔が止まった。自分を否定されないこと。 許されること。そんなものは、真人には必要ないと思っていた。

「悪い奴程魅力的って言うじゃん」

ロロが何気なく言うと、真人は吹き出した。

「なにそれ。俺を褒めてるの?」

「褒めてるよ」

「俺、悪い奴だよ?」

「知ってる」

「最低だよ?」

「知ってる」

「それでも?」

「それでも真人は真人だから」

真人はしばらくロロを見つめた。そして、いつものように笑う。

「ほんと、変なの」

けれどその声は、いつもより少しだけ優しかった。悪い奴程魅力的。そんな言葉を、真人はくだらないと思っていた。でも今だけは。自分をそのまま見てくれるロロがいるなら、悪い奴でいることも少しだけ悪くないと思えた。
/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp