第7章 狗巻棘
【マジック】
「棘、今度こそ私が勝つからね!」
休憩室のテーブルに、トランプがずらりと並ぶ。狗巻は少し考えてから、1枚を指差した。
「しゃけ」
「それ?じゃあ覚えてね」
ロロはカードを受け取り、華麗にシャッフルする。
「はい、どこにあるでしょう!」
棘はじっとカードを見る。
「…おかか」
棘が1枚めくる。
ハズレ。ロロが得意げに笑った瞬間。狗巻はもう1枚のカードをロロの目の前に差し出した。
「…え?」
そこには、最初に選んだカード。
「いつの間に!?」
「しゃけ」
「ちょっと待って!今のどうやったの!?」
狗巻は教えてくれない。代わりに、今度は自分の手の中のカードを1枚、指で弾いた。カードがひらりと宙を舞う。そして、ロロの頭の上に着地した。棘が肩を震わせる。
「笑った!」
「しゃけ…!」
「絶対笑ったでしょ!」
ロロが頬を膨らませると、狗巻は慌てて首を振る。
「おかか!」
「じゃあ罰として、もう1個マジック見せて」
「しゃけ」
狗巻は少し得意げに頷いた。今度は何も持っていない両手を見せる。右手、空っぽ。左手も、空っぽ。
「…?」
狗巻が両手を合わせ、ぱっと開く。すると、そこには小さな花が一輪。
「わ…!」
ロロの目が輝く。
「すごい!」
狗巻は嬉しそうに目を細め、花をロロへ差し出した。
「私に?」
「しゃけ」
「ありがとう!」
ロロが受け取ると、狗巻は少し照れたように顔を背ける。
「…ツナマヨ」
「ふふ。棘、マジック上手だね」
「しゃけ」
「じゃあ次は、私が棘をびっくりさせる番!」
2人のテーブルには、トランプと笑い声がいつまでも残っていた。