第7章 狗巻棘
【パズルゲーム】
休日の午後。ロロがソファでスマホを触っていると、隣に座った狗巻が画面を覗き込んだ。
「しゃけ?」
「パズルゲームです。暇つぶしに始めたら、意外とハマっちゃって」
「おかか」
興味を持った狗巻にスマホを渡すと、彼は器用な指でパズルを次々と消していく。
「あっ、それ難しいステージなんですけど…」
数秒後。クリアした。
「…え?」
ロロは思わず画面と狗巻の顔を見比べた。
「しゃけ」
どこか得意げな表情。
「うそ、初見ですよね?」
狗巻は小さく頷く。
「すご…」
尊敬の眼差しを向けられ、狗巻は少し照れくさそうに目を逸らした。それから2人は交代でステージを進めることになった。
「私、ここがどうしてもクリアできなくて」
ロロが苦戦していると、狗巻は隣から画面を指さす。
「しゃけ」
「ここを先に?」
頷く狗巻の助言どおりに動かすと、連鎖が起きて一気にブロックが消えた。
「やった! クリア!」
嬉しくてロロが振り向くと、狗巻も目元を細めて笑っていた。
「ありがとうございます!」
勢いのまま、ロロは狗巻の手をぎゅっと握った。その瞬間。狗巻の肩がぴくっと震えた。
「…明太子」
耳まで赤く染まっている。
「え? あ、ご、ごめんなさい!」
慌てて手を離そうとすると、今度は狗巻がそっと握り返した。
「しゃけ」
「…?」
言葉は分からないけど、その優しい手は、気にしなくていいと伝えているようだった。ロロは照れ笑いを浮かべる。
「じゃあ、次のステージも一緒にやりましょう」
「しゃけ!」
嬉しそうに頷く狗巻。2人は肩を並べ、画面を見つめながら、ああでもない、こうでもないと協力してパズルを解いていく。ゲームのクリア画面が何度映っても、それ以上に嬉しかったのは、隣で笑う狗巻の穏やかな横顔だった。