第6章 乙骨憂太
【愛と恋】
隣に並んで座るロロが、不意に尋ねた。
「ねえ、憂太。愛と恋って、何が違うと思う?」
乙骨は少し驚いたように瞬きをして、それから静かに笑った。
「難しい質問だね」
少し考え込んでから、乙骨は空を見上げる。
「恋は、会えないだけで寂しくなったり、声を聞くだけで嬉しくなったりする気持ちかな」
「じゃあ、愛は?」
その問いに、乙骨はロロの方へ向き直った。
「ロロが笑っていてくれるなら、それだけで十分だって思える気持ち。自分よりロロの幸せを願えるようになったら、それは愛なんじゃないかな」
ロロは照れ隠しに笑う。
「憂太らしい答え」
「そうかな」
乙骨も照れくさそうに笑った。
「でも、僕はロロに対してはどっちもあるよ。最初は恋だった。話せるだけで嬉しくて、目が合うだけで緊張して。でも今は違う」
乙骨はそっとロロの手を包む。
「ロロが疲れている日は隣で支えたいし、泣いている日は一緒に泣きたい。嬉しいことがあれば、一番に分かち合いたい。そんな毎日を積み重ねたいって思う」
ロロは少し目を丸くした。
「それって…」
乙骨は恥ずかしそうに笑いながらも、まっすぐロロを見つめる。
「恋をした相手を、愛する人になってほしいって思ってる」
胸が熱くなり、ロロは乙骨の手を握り返した。
「私も」
短い返事だけで十分だった。乙骨は安心したように微笑み、小さく言う。
「これから先も、何度でもロロに恋をして、そのたびに愛を深めていけたらいいな」
夕風が二人の間を優しく通り抜ける。重なった手は温かく、その温もりだけで、お互いの答えはもう十分に伝わっていた。