第1章 五条悟
【名探偵】※学生五条
「犯人は五条悟!」
教室に入るなり、ロロは堂々と宣言した。
「おはようもなし?」
「犯人に挨拶する探偵はいない」
五条は面白そうに笑う。
「証拠は?」
「ない」
「え?」
「でも犯人は悟」
「理不尽すぎる」
ロロは机に1枚のメモを置いた。『事件:購買の限定シュークリーム消失』。
「被害者は泣いていた」
「かわいそうだね」
「だから犯人を捕まえる」
「頑張って」
「捕まえた」
「早いな」
「悟だから」
「偏見だよ、それ」
ロロは腕を組み、わざとらしく歩き回る。
「犯人は現場に戻る」
「うん」
「悟はさっき購買にいった」
「甘い物を買いに」
「犯人は甘い物が好き」
「俺も好き」
「犯人は身長が高い」
「俺も高い」
「犯人は性格が悪い」
「…それ必要?」
「決定打」
「名誉毀損で訴えるよ」
ロロはニヤリと笑う。
「裁判長も悟の性格知っているから、無罪」
「裁判長、誰?」
「私」
「全部ロロじゃん」
その時、ロロは五条のポケットから包装紙が少し見えていることに気付いた。
「動くな」
ひょい、と包装紙を引き抜く。そこには、限定シュークリームの包み。
「…」
「…」
沈黙の後、ロロが勝ち誇って言う。
「ほら」
五条は数秒黙り、肩をすくめた。
「まさか本当に証拠が出るとは」
「やっぱり犯人」
「違う違う。硝子がいらないってくれた」
「証人は?」
「硝子」
「本人に聞く」
ちょうど廊下を歩いていた家入を呼び止める。
「硝子さん、悟にシュークリームあげましたか?」
「…あげた」
ロロは固まる。五条は勝ち誇ったように笑う。
「探偵さん?」
ロロは咳払いを一つ。
「今回は見逃す」
「誤認逮捕したのに?」
教室には夏油の笑い声が響き、ロロは悔しそうに頬を膨らませる。
「…でも、疑われる時点で日頃の行いだから」
「それは否定できないな」
五条は苦笑いしながら、もう二度と探偵ごっこでロロを敵に回さないと心の中で誓った。