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短編

第1章 五条悟


【聞き間違い】※学生五条


「ねぇ、任務終わったら映画行かない?」

ロロが何気なく五条に声をかける。しかし、その瞬間。

「…は?」

五条がピタリと止まった。

「今なんて?」

「だから映画」

「え?俺が?」

「違う、映画!」

「告白?」

「してない!」

騒ぎを聞きつけた夏油が笑いながら近寄って来る。

「悟、何を勘違いしてるんだい?」

「ロロが俺に『俺が好き』って言った」

「言ってない!」

ロロが即座に否定すると、夏油は肩を震わせた。

「それは映画だろう」

「…あ」

一瞬だけ静まり返る。

「…なんだ映画か」

そう言った五条は、どこか残念そうだった。

「残念そうな顔するな!」

「いや、期待するでしょ。普通」

「普通しない!」

家入がコーヒー缶を片手に、通り過ぎながらポツリ。

「聞き間違いでそこまで舞い上がるの、五条くらいだよ」

「舞い上がってない」

「顔真っ赤」

「うるさい」

耳まで赤くなった五条に、ロロは吹き出した。

「そんなに焦る悟、初めて見た」

「…笑うな」

「ごめん、ごめん」

笑いながら謝るロロを見て、五条は小さくため息を吐く。

「じゃあさ、今日は映画でいい」

「うん」

「そのかわり、いつか本当に聞き間違いじゃなくなる日が来たら嬉しい」

珍しく真面目な声。ロロは一瞬だけ目を丸くし、照れ隠しに軽く五条の肩を叩いた。

「その時はちゃんと聞こえるように言うよ」

「約束」

そう言って笑った五条の表情は、普段の軽薄さとは違う、学生らしい少し照れた笑顔だった。
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