第6章 乙骨憂太
【うなじ】
任務帰りの夜。
「…乙骨くん、どうしたの?」
ロロが振り返ると、乙骨は少し困ったように目を逸らした。
「いや…その…」
珍しく歯切れの悪い乙骨に、ロロは首を傾げる。
「顔、赤いけど」
「…ロロの髪」
「髪?」
風で揺れた髪が、普段隠れているうなじを少しだけ見せていた。乙骨は慌てて視線を外す。
「ごめん。変な意味じゃなくて、その、うなじが綺麗だなって思って」
「乙骨くんがそんなこと言うの珍しいね」
「僕だって、好きな人のことなら、ちゃんと褒めたいよ」
真っ直ぐな言葉に、ロロの方が照れてしまう。
「うなじ見ただけでそんな反応する?」
「するよ。だって、普段見えないところだから。なんか、特別に感じる」
乙骨は少し笑う。
「ロロのこと、全部大事にしたいって思ってるから」
その優しい声に、からかうつもりだったロロも黙ってしまう。
「…乙骨くんって、たまにずるい」
「え?」
「そんな顔で言われたら、何も言えない」
乙骨は照れながら笑った。
「じゃあこれからも、僕だけに見せてくれる?」
「…調子に乗らないで」
そう言いながらも、ロロは少しだけ乙骨の近くに寄る。乙骨は嬉しそうに目を細めた。