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短編

第3章 両面宿儺


【騒がしい奴】※平安時代の宿儺


平安の都。

「宿儺様ー!」

朝の静寂をぶち壊すような声が響く。宿儺はゆっくり目を開けた。

「…朝から騒がしい」

ロロは満面の笑みで駆け寄る。

「宿儺様!見てください!」

「何だ」

「おにぎりを握りました!」

「だから何だ」

「宿儺様の顔です!」

差し出されたおにぎりには、海苔で四つ目が描かれていた。宿儺は無言。裏梅も無言。

「どうですか!」

「…俺は米になった覚えはない」

「かわいいですよ!」

「かわいくするな」

するとロロは懐から次のおにぎりを取り出す。

「これは裏梅さんです!」

「私ですか?」

細い海苔二本だけ。

「…棒ではありませんか」

「特徴をつかみました!」

裏梅は静かに肩を落とした。宿儺は堪えきれず鼻で笑う。

「くくっ…」

「笑いました!?」

「笑っておらん」

「今、『くくっ』って!」

「咳だ」

「咳で『くくっ』は無理があります!」

ロロはさらに風呂敷をごそごそ。

「次は宿儺様のお面です!」

「まだあるのか」

顔につけると、目の位置が全部ずれていた。

「何も見えません!」

柱にゴン。障子にゴン。最後は宿儺の胸にそのままぶつかる。

「いたた…」

宿儺は額を押さえ、盛大にため息をついた。

「ロロは目が4つあっても同じだろうな」

「えへへ」

「褒めておらん」

裏梅がぼそりと呟く。

「宿儺様、本日は三度目のお笑いです」

「数えるな」

ロロは首をかしげる。

「宿儺様、今日はよく笑いますね。」

宿儺は少しだけ口角を上げた。

「…ロロが毎日くだらんことを持ち込むせいだ」

「やったー!明日はもっとくだらないものを持ってきます!」

「それ以上くだらないものがあるのか…」

呪いの王は、その日初めて明日は何をしでかす気だと少しだけ楽しみにしてしまったのだった。
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