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短編

第3章 両面宿儺


【萌え】


「宿儺」

「何だ」

「今日は真面目な話」

宿儺は片眉を上げた。

「ロロが真面目とは珍しい」

「私、自分的萌えポイントについて本気で考えてみたの」

「…またか」

「まず1つ目。名前を呼んでくれるところ」

「そんなものか」

「そんなものじゃないよ」

私は指を立てた。

「宿儺って、他の人には『小僧』とか『雑魚』とかしか言わないじゃん。でも私にはちゃんと名前を呼ぶ」

宿儺は少しだけ口元を緩めた。

「区別だ」

「その区別が萌えるの!」

「…変な趣味だ」

「次!私が転びそうになると、絶対支えてくれる」

「転ばれると面倒だからな」

「またそれ」

「本当だ」

「でも1回も落としたことない。あと!」

「まだあるのか」

「1回言ったことちゃんと覚えてるとこ」

「必要なことは忘れん」

「私の好き嫌いも」

「当然」

「寒がりなのも」

「当然」

「全部覚えてる」

宿儺は面倒そうにため息をついた。

「ロロに関することはな」

その一言で、心臓が跳ねた。

「今の、一番萌えた」

「そうか」

「そんなさらっと言う?」

宿儺は立ち上がり、ロロの額を指で軽く押す。

「ロロは俺のものだ」

「急に重い」

「だから把握している」

「全部?」

「全部だ」

「怖い」

「今さらだ」

その笑みは獰猛で、自信に満ちていた。

「ロロは俺の萌えポイントばかり探しているようだが」

「うん」

「俺も知っているぞ」

「え?」

宿儺は少し身を屈め、私と目線を合わせる。

「ロロが俺を見て笑う瞬間。俺の名を呼ぶ声。俺を見つけた時、少しだけ足が速くなるとこ」

全部、見られていた。

「全部、俺の好きなところだ」

思わず顔を隠そうとすると、その手首を掴まれる。

「隠すな」

「恥ずかしい…」

宿儺は愉快そうに笑った。

「萌えポイントとは面白いものだ」

「何が?」

「結局、お前の一番の萌えポイントは俺で」

ぐっと肩を抱き寄せる。

「俺の一番の愛でるポイントも、お前だ」

その言葉はあまりにも真っ直ぐで。悔しいくらい、胸が熱くなった。
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