SW異銀河から落ちてきた言葉の通じない謎の親子を保護しました
第2章 鉄の男と緑の子
「はぁ……。明日も朝から仕事かぁ……」
星子は、カゴに入った洗濯物をパタパタと振りながら、夜の生ぬるい空気にため息をこぼした。
時計の針は、まもなく夜の十一時を回ろうとしている。
季節は八月。ここは東京から電車で一時間半ほど離れた場所にある、緑川市(みどりかわし)だ。
都会のようなきらびやかさはないけれど、夜になれば虫の音が心地よく響く、静かで平凡な地方都市である。
亡くなった祖父母から受け継いだ古い一軒家。
星子は縁側(えんがわ)の軒下にシャツを掛けていた。
地元の小さな工務店で事務員として働く三十代前半の日常は、平穏そのもの。
夏の夜洗いはすぐに乾くからお気に入りだけど、ふと「私の人生、このままでいいのかな」なんて考えてしまう。
「よし、これで終わり」
最後の靴下を干し終え、ふと縁側から夜空を見上げた、その時だった。
「え……?」
裏山のすぐ上、満天の星空がまるで雑巾を絞るかのように、ぐにゃりと不自然にねじ曲がった。
異様な光景に息を呑んだ次の瞬間、パチパチと激しい紫色の火花が空間から噴き出した。
バリバリバリッ!!!巨大な静電気が弾けたような、聞いたこともない爆音が静かな住宅街に響き渡る。
星子は思わず耳を塞いで縁側にしゃがみ込んだ。
ドスーーーン!!!地響きとともに、星子の家の小さな庭へ、何かが猛烈な勢いで落ちてきた。
暗闇の中で土煙が舞い上がり、物干し竿がガタガタと激しく揺れる。
心臓がバクバクと早鐘を打つ中、星子は恐る恐る目をあけた。