第1章 夏灯りの約束
「もう! 星也と恵の浴衣は?」
いつまで経っても選ぶことすら始まらないことに焦れて、星良が頬を膨らませる。
のんびりとした時間に、星也は穏やかな気持ちになった。
いつまでも、こんな時間が続けばいいのに。
「詞織! ほら、恵の浴衣 一緒に選んできて! 津美紀も! 星也の見繕ってあげて!」
グイグイと津美紀と共に背中を押されると、さすがに星也も戸惑いが勝った。
「姉さんは?」
「あたしはお店の人と出来上がりの日程を相談しておくわ」
まるでお手本のようなニッコリとした笑みに、確信犯だなと納得する。
「あ、えっと……星也さんの浴衣、どんなのがいいですか?」
微かに頬を赤くして見上げてくる津美紀に、「そうだな……」と考え込んでしまう。そこへ、詞織と伏黒がやって来た。
「兄さまにはカッコいいのがいい」
「待て、詞織。星也さんなら綺麗めの方が似合うんじゃないか?」
当然のように会話に混ざってくる二人に、津美紀が目をパチクリさせる。