第1章 夏灯りの約束
腹を括ってしまえば、後は気が楽だった。
色とりどりの生地や柄に、津美紀は気持ちが弾む。
「あ、可愛い」
生地を一つ手に取った。
触れると手触りがよく、素人でも生地の上質さが伝わってくる。
……やはり気になってしまうものは仕方がない。
さりげなく値札を見ようとするが、どこにもついていなかった。
「あれ?」
「値札ならついてないわよ。こういうお店は、買える人にしか売らないから」
「星良さん⁉︎」
恥ずかしくて縮こまると、星良がクスクスと笑う。
「ほんとに気にしなくていいのよ。星也が『したい』って言うんだから、甘えておきなさい」
「……すみません」
気を遣いすぎるのが失礼なのは分かっているが、これはもはや性分だ。
「それより、その生地にするの?」
「あ……いえ。まだ決めたわけじゃなくて……」
白地に小花のデザインに目を引かれて手に取る。少し広げてみるとやはり可愛い。
「ちなみに、星也は普段 暗めの服を着てるけど、好きなのは白なのよ。デザインは『可愛い』より『綺麗』の方が好き」
ドキリと心臓が跳ねた。思わず星也を見ると、伏黒や詞織と生地を見て回っている。
「うんとおしゃれして、星也をドキドキさせちゃいましょ」
イタズラっぽく笑う星良に、津美紀は顔を赤くした。
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