第1章 夏灯りの約束
「それでも! 今年こそは星也も夏祭りに参加させるのよ!」
息巻く星良に、星也たちは目を瞬かせた。
「星良さん? 夏祭りは二ヶ月後ですよ?」
「だから、今 言ってるのよ、津美紀! 二ヶ月前から言っておけば、調整だってしやすいじゃない。それに、伊地知さん辺りにちゃぁんと意思表示してたら、気を遣ってくれるでしょ」
バイトのシフトではないのだ。そう簡単にはいかないだろう。
しかし……。
星也はさりげなく周りを見る。
星良はもちろん、詞織や伏黒、津美紀の目にも少なからず期待の色が見てとれる。それを見て、星也は微かに口角を上げた。
「分かった。相談してみるよ。それと、次の日曜、空けておいてくれ。その日は明け方には任務から戻れるはずだ。皆で浴衣を見に行こう」
「大丈夫ですか? さすがに疲れてるんじゃ……」
「あまり無理しないでくださいよ」
気遣ってくれる伏黒姉弟に、星也は「大丈夫」と返す。
「自動車の中で仮眠を取らせてもらうから、心配しなくていいよ」
そう答えると、二人はホッとした表情をした。
「姉さんは日曜、大丈夫そう?」
「その日は夕方からの任務だから、昼間はオーケーよ」
「でも、兄さま。浴衣 選ぶのはちょっと早くない?」
「まぁ、少しね」
確かに詞織の言う通り少し気は早いが、夏真っ盛りになれば店が混み合う可能性もある。
皆がこれだけ言ってくれているのだ。少しくらい我が儘を通してみるか。
やや弾んだ気持ちになっていることを自覚しつつ、星也はご飯に箸をつけた。
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