第1章 夏灯りの約束
詞織の小さな手を握り、伏黒は隣を見る。
そして、パチッと夜色の瞳と目が合い、また逸らしてしまった。
……直視できない。
何か気の利いたことが言えればいいのだが、浴衣を見てすぐも「悪くない」という言葉しか出てこず、星良にも呆れられた。
それでも、詞織が微かに口角を上げて嬉しそうにしていたから、まぁいいか。
そこへ、「メグ、メグ」と詞織が射的の屋台を指さした。
「見て。メグのガマちゃんにそっくり」
「ん? あぁ、そうだな……って、欲しいのかよ」
カエルのぬいぐるみに どれだけ需要があるのか知らないが、詞織には刺さったらしい。
「オマエ、この前 ゲーセン行ったとき、【玉犬】に似てるって犬のぬいぐるみ 取ったばっかだろ」
「こういうのは、いくらあってもいい。そんなに大きくないから場所もとらないし」
兄さま、と呼ばれて星也が店主に代金を渡していた。そして銃にコルクを詰めると、ふと こちらに視線を向けてくる。