第1章 夏灯りの約束
――「しっかり遊び倒すわよ!」
その宣言通り、星良は星也たちを率いて、まずは腹ごしらえをすることにした。
祭りの費用は「遅れたお詫び」と全て星也が出してくれるらしい。
伏黒と津美紀が「申し訳ないです」と首を振ったが、ここは星也が押し切る。
星良は詞織と「ありがと」とすぐに受け入れた。
星也がそうしたいと言っているのだ。浴衣と併せてありがたく受け取っておこう。
腹ごしらえを終え、星良たちは屋台に戻った。
さすがに人が多く、すれ違うたびに人と肩がぶつかってしまう。
「詞織、こっち来い」
「ありがとう、メグ」
パシッと伏黒が詞織の手を掴んだ。それを見て、「恵、合格よ」と星良は内心で拍手をする。
それに比べて……。
「津美紀、はぐれないように僕の浴衣を掴んでて」
「は、はい」
浴衣の裾を掴ませる星也に、思わずため息を吐きたくなる。
……星也、あなたはもう少し頑張りましょ。
星良の目的は星也も一緒に夏祭りに行くことだが、目標はこの不器用な弟妹たちの恋を少しでも進展させることだ。
「あぁ、あたしも七海さんとお祭りに行きたいなぁ」
ガリッと買ってもらったりんご飴を齧る。
いや、待て。
祭りはこれだけではない。むしろ始まったばかりだ。
これが終わってもまだ、河川敷の祭りも神社の祭りも残っている。彼も一級術師として忙しいだろうが、誘えば少しくらい時間を作ってもらえるかも……?
よし、帰ったら連絡してみよう。
ふふ、と弾んだ声で笑い、星良は後ろから弟たちを見つめた。
* * *