• テキストサイズ

巨体の人外に助けられて世話される話

第8章 接触


「どうしたんです、急に肩がこわばっていますよ」
「い、いや、あのすみません、師匠!」

あなたは荷物を素早くまとめ、彼に向かって勢いよくお辞儀した。

「ちょっとトイレに行きたくなっちゃって、今日はこのへんで失礼しますね。お疲れさまでした!」
「わかりました。場所は知っていますか?」
「任せてください!」

変な答えになりながら、あなたは足をもつれさせて走り去った。





騎士団領内を急いで移動し、本部の中層階にある唯一の女子トイレへと駆け込んだ。

ひんやりした清潔な空間だ。騎士団は本来女人禁制で、ここはゲスト用なため誰かが来る心配もない。

「はあっ、はあっ、守護者さま!? 今まで何してたんですか! あやうく存在を忘れるところでしたよ!」
『仕方がないだろう。そこは少々面倒な結界が多いのだ。今、誰と喋っていた?』

冷静に問われて、洗面台の近くで小声になった。

「魔術の師匠ですよ。優しい方で、時々教えてくれてるんです」
『師匠だと? 騎士団なんぞに染まりおって。体に異常はないか』
「別にないですけど……」

どうしていちいち敵対的なのか分からない。
気を取り直し、あなたは早々に核心へ持っていこうとした。

「でも自分だって魔族ですよね? そろそろ本当のこと言ってくださいよ。なぜ私に接触するんですか?」
『お前……なんだか声に自信が出てきたな。あの男に、加護を授けるなどと言われたか?』

会話が噛み合ってないのだが、彼女の指摘に鼓動が跳ね上がる。

自分のことは見えていないようだし、ここでの動向は本当に知らないようだ。

この人は、信用できるのだろうか?

ここでルドガーと一緒にうまくやっているあなたには、徐々に不信感が生まれていた。

「な、なんで知ってるんですか。ゼイラン様はいい人ですよ。ルドガーの主人だし、私達をほぼ認めてくれてるんです」
『それは良いことだがな、お前に加護を授けるのを、許すことはできん』

そのよく分からない立場の台詞に、唖然とする。

「いや許す許さないとかじゃなくて、彼はすごい立場の人なんですよ? 加護を拒否するとか出来るわけないでしょう。あなた何なんですか? 私の守護天使?」

彼女はまた答えなかった。不明瞭だが断定的なやり取りに、段々とイライラしてくる。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp