第12章 赤兎編
「可愛い、ルドガー……甘えてるの? よしよし」
「……俺はれっきとしたオスだ。子供扱いするな」
「分かったよ。あなたがすっごい格好良くて強いオスなの知ってるもん」
するなと言われたので、あなたが彼の胸元に強引にもぐりこみ、頭を差し出す。
すると彼はため息交じりに、優しく撫でてくれた。
自分が弱ってるときは頼もしい背中と胸で、全身を使ってお世話してくれた。
彼と触れあっていると、それを忘れるときがない。
でもそんな頼れるルドガーは、こうして自分の感情をまっすぐに見せてくれるようになった。
だから毎日、どんどん、さらに大好きになっていくのだ。
「ルドガーだけだよ。こんなに愛しているの。私、あなたがいないとダメなんだから。知ってるでしょう」
「……知ってるぞ。俺もお前がいないとダメだ。……ダメになってしまった」
彼はそう呟き、あなたを抱きこんだまま倒れ込む。
じっと顔を見つめて、唇を重ねてきた。
様子を伺いながら、甘噛みするような、くすぐったく甘いキスだ。
「ルドガー……」
温かな体温に抱きすくめられ、天井を見ながら彼の頭をまた撫でる。
黒い角は普段は勇ましいけれど、触れるとわずかに動く気がする。
「……じゃあ私たち、お似合いでぴったりの番じゃない?」
「そうだな」
「ふふ、嬉しい。……機嫌、治った?」
「まだだ……今夜は長いぞ、」
「ええっ。うそぉっ」
あなたの嬉しい悲鳴は、他の誰にも引き出すことの出来ない、ルドガーだけのものである。