第12章 赤兎編
仕事が終わり部屋に帰ったあとも、なんとなくルドガーは不貞腐れているようだ。
一緒に風呂に入り、ご飯も食べ、寝るまでのスキンシップもいつもより多いぐらいだが。
あなたのことをじっと見つめては、無言で何か言いたげな顔をする。
「もう、まだ怒ってるの。小動物可愛がったただけじゃない」
「だけ? お前は獣の危機感を知らないんだな。あいつはお前の胸に顔を押しつけていた。俺が許せると思うか」
「えっ」
そんな風に正面から申し立てられれば、あなたも「大げさだよ」なんて笑うことはできない。
「うーん、小さい動物ってそんなものじゃない? ママが恋しかったのかも」
「……ママだと? さらにおぞましいことを言うな」
彼は筋肉質な分厚い肉体を震わせ、あなたの体を自分のほうに引き寄せた。
居間のラグを敷いた床の上で、すっぽりと肩の中に覆い、首に黒髪をこすりつけてくる。
そんなふうにされると、小動物を抱いたときとは全然違う、心の底から愛らしさと愛しい気持ちがわきあがってくる。