第7章 食堂にて
森で生後間もない彼を拾ったのは別の人物で、当初はアジトのような複合施設に入っていたらしい。
「広い草原のある敷地だった。だが俺以外にもたくさん獣がいて、俺達は毎日戦闘訓練をさせられた」
「……えっ……」
元々戦闘種族ではあったが、親の顔も知らず見知らぬ魔術師たちにしごかれ、闘いの作法を身につけたのだという。
まだ幼いルドガーが必死に訓練する姿を想像し、あなたは瞳をうるませ胸が苦しくなった。
「そんなことがあったの……かわいそうだよぅ……」
「泣くな、。大昔の話だ」
彼は今は強く逞しい男となって、あなたの肩を支えている。
「ふっ……だから俺はきっと魔術師が嫌いなんだろうな。ゼイラン様がある日救い出してくれた時には、ものすごく感謝をしたんだ。彼は俺を家に持ち帰って、初めて自由に過ごさせてくれた」
遠い目をしていたルドガーの瞳が、だんだんと希望に染まり明るくなっていく。
「自分の好きに動くのが戦いの喜びだと教えてくれた。彼は戦闘では強く恐ろしい方だが、普段は厳しくないし優しいんだ。だから俺は、おのずと強くなろうと思えた」
獣の自分に強制しなかった主のために。
契約という強力な力があるのに、ルドガーが窮屈さを感じたことがなかったのは、ゼイランなりの愛情深い育て方だったようだ。
「うぅっ……よかった、よかった……。あの人、ほんとに良い人なんだね。ルドガーが幸せになって嬉しいよ」
「はは、ありがとうな、。だが俺をもっともっと幸せにしてくれたのは、お前だ。お前しかいないぞ。それを覚えていてくれ」
ルドガーは優しく笑み、あなたの頬を手で包み込む。そうして唇を重ねた。
あなたは彼の胸に触れ、温かい心で受け取る。
そんな風に生きてきたルドガーのことを、今度は自分が、自分なりの方法で守りたいという気持ちが募っていった。