第6章 魔術師編
「ええっ、もう戻っちゃったの! ひさびさに見たかったのに〜、あの格好可愛い姿!」
「……恥ずかしいことを言うな。人前だぞ」
なぜかルドガーは頬をほんのり染め、珍しく羞恥を感じているようだ。
そんな二人のやり取りを、ゲインは近くに突っ立って不思議な様子で見ている。
「あんた、怖くないのか? さっきの雄叫び割とやばかったぞ。この俺でもゾクッときたね。口がこっち向いてたら立ってられなかったわ」
「そうなんですか? そんなに強そうなのかな。すごいねルドガー」
あなたは彼に寄り添い、上を向いて微笑んだ。
そういう姿を知らない自分だから、こんなふうに呑気に言えるのかもしれない。
でもその純粋な心は、ルドガーにとって居心地がよくなるものだった。
あなたは自分を怖がらない。段々と確証が生まれてくるみたいに。
「……。お前を今すぐ抱きたい」
「えっ、ちょっ、どういうことっ?」
他人の前では破廉恥な話はしない約束だが、感極まった半裸のルドガーにハグされると、言葉がしまわれた。
ルドガーは鋭い目つきで結界師を見やる。
また強い口調で何か言うのかと思ったら、そうではなかった。
「ありがとうな、結界師。お前に頼んでよかった」
「ええッ? おお……。あんた、普通に礼とか言えるんだな。そんなにやばい男じゃないのか」
一人でぶつぶつと喋るゲインに、あなたは苦笑いをする。
ルドガーは本当は素直で、優しい男性だ。
獣の強さと、まっすぐな心を持っている。
そんな姿がもっと皆にも伝わればいいなと思った。
「何か困ったことがあれば俺に言え。力になろう」
「私も! なんでも言ってください」
「ありがとよ。じゃあ今度会ったとき、珍しい酒くれ。酒盛りしようぜ」
別れの挨拶時には、妙な親近感が湧いていた。
魔術師とは思えないほど気さくで、親しみやすい人なのかもしれない。
「無事に済んでよかったね。ありがとう、ルドガー。あとミザロさんにもお礼言わなきゃね」
「……まあ、そうだな。少しは」
二人きりになったあと、ルドガーはあなたの肩を抱きながら答える。
部屋を見て佇む彼は、柔らかく満ち足りたような雰囲気をまとっていた。