第6章 魔術師編
「あの……本当に今ので魔法かかったんでしょうか?」
「おう。物音ひとつ逃さない傑作だぜ。おい兄ちゃん、獣化してみろよ。中で雄叫びを上げてチェックするんだ」
親しくない者に促されて、獣として誇りのあるルドガーは渋い顔をした。
しかし確かめる方法としては理に適っている。
「。廊下に出ていてくれ」
「えっ、どうして? まず私もここに――」
「お前を怖がらせるかもしれない。本気で吠えるからな」
強そうな台詞とは裏腹に、やや覇気のない表情で告げる。
あなたは彼の腕に手を伸ばして握った。
「そんなこと気にしなくていいのに。……でもわかったよ、外にいるね」
彼の気持ちを汲んで、廊下に一人出て待ってみる。
そういえば、ここに来てからまだ獣化したルドガーを見ていない。
騎士団の決まりで、獣の姿で歩くことは禁じられているそうだ。
でも、ここも小屋と同じぐらいの広さと高さだし、獣化しても問題ないはず。
そう納得しているうちに、玄関扉が開き、結界師のゲインが顔を出した。
「終わったぞ。聞こえなかったか?」
「はい! 本当に? すごいですね!」
興奮気味に部屋に戻ると、ルドガーはすでに人化しており、白シャツのボタンをとめようとしているところだった。