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巨体の人外に助けられて世話される話

第6章 魔術師編


「お前が結界師か? 以前会ったか」
「一度だけな。俺は普段ここにはいねえから。仕事掛け持ちしてんだ」

壁に手を当て、何かを調べるような仕草と目つきをしたあと、ポケットからあるものを取り出した。

いきなりタバコを吸い始めて、あなたは煙を顔に浴びる。

「あ、あのー、領内は禁煙のはずですが」
「気にすんなよ、匂いはつかないように結界張ってあるから。そうだろ? 獣の兄ちゃんよ」

スパスパやりながら、あなたににこっと気のいい笑みを見せてきた。
なんだか腑に落ちないけれど、頼んで来てくれた結界師の人は、名をゲインと言った。

ここの魔術師団に籍を置いている一員で、敷地内の防護結界などを張り替える仕事をしてるらしく、まるで修理屋である。

「んで、なんで防音なんだ?」

にやにやしながら、とくにあなたに好色な目線を向けてくる。

ここまで人間くさい中年の魔族をあまり見たことがなかったあなたは、赤くなり口ごもった。

「おい、を辱めるな」
「いや別に辱めてはねえだろう。何考えたんだあんた」

ツッコミながらも、興味津々な瞳は当事者であるルドガーに定められた。

「とにかく防音魔法を張ってくれ。二人の新婚生活のためだ」
「わーかったよ。若いお二人さんの言うことを聞いてやるか。魔術師長がレアものの酒くれるっつってたしな」

そんなことまでしてくれたのか、とミザロにまた有り難く感じた。

結界師はその後部屋すべてを見回り、なにやら天井に手を掲げて呪文を唱えていた。

袖をまくった彼の右腕には、絡み合った入れ墨模様が描かれており、それを使って魔術を行っているのかもしれない。

だが前に医師ゲアトに治療を受けた時とは違い、光の粒すら見えなかった。
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