第6章 魔術師編
「わかりました。彼女の清廉さに免じて、呼んであげましょうか。ですがルドガー、条件があります。この私に、さんの魔術指導をお任せ頂けませんか?」
ルドガーは片眉を上げ、強く反応した。
「なんだと?」
「彼女もここで一人あなたの帰りを待っている生活では、つまらないでしょう。暇つぶしになると思いますよ」
あなたのことを出されると、彼は一転して怯む。
緊張の面持ちで行儀よく座るあなたを、揺れる瞳で見つめだした。
「お前も教わりたいのか?」
あなたは迷ったが、気持ちは前向きだった。
夢のまた夢ではあるけれど、秘密の願いもあるのだ。
「お願いルドガー、なんか面白そうだなと思って。少しの時間でいいから」
まさか今日こんな話をするとは思わなかったけれど、ミザロも応援するように頷いている。
もっと驚いたのは、予想より落ち着いているルドガーの反応だ。
「……わかった。俺はお前の自由を奪いたくないし、好きなことをしてほしい。でも……危険な目に合わせたらお前を殺るぞ、ミザロ」
およそ頼み事をする側じゃない、ぎろっと殺気に満ちた視線を送る。
対して魔術師は何も恐れていない。
「ふふふ。少しあなたを見直しました。大丈夫ですよ、さんのことはお任せください」
二人のやり取りに、ぱあぁっとあなたの顔が輝いていく。
「ありがとうございます、ミザロさん! ルドガーも!」
隣に抱きつくと、ルドガーは若干胸が詰まったような顔つきだったが、愛する者の喜びを受け止め、抱擁してくれる。
こうしてあなたは、時折魔術師に世話になり、鍛錬の時間を得ることになった。
それに結界師への紹介もしてくれるらしい。
その人は普段ここにはあまり姿を見せず、ふらふらしていて捕まりにくい人物のようだが。
自分たちの要求を結果的に全部飲んでくれたミザロには、感謝の気持ちが絶えなかった。
しかし、変わらず見つめる薄い笑みには、少しだけ胸の奥がぞわりとした。