第5章 騎士団編
「悪くはないさ。俺も団長も、君の隊長だって、男は皆最初は童貞だったんだから。けれどな、ひときわモテる俺から言わせてもらうと――」
「お前はただの女たらしだ。すべては一人の女を大事に出来ないオスの戯言にすぎん。じゃあな」
くるっと大きな背中を向けたルドガーは、あなたの手を握りまた部屋へと戻ろうとした。
「……ちょっ……今のはすごくグサっと来たぞ。……獣に諭されるとは……」
本気で呆然とショックを受けているジュリスが少し可哀そうだったが、あなたはぺこっとお辞儀をして去った。
部屋の扉を閉めて、玄関先で向き直る。
「ルドガー、すごく良いこと言ってたけど、ジュリスさんショック受けてたよ。ダメだよ、本当のこと言ったら」
「またか? 難しいな。本当のことを言うのは良いことだろう。あいつはいつも複数の女の匂いをまとっていてな、鼻がもげそうだったんだ。いつか文句を言おうと思っていた。それに、俺は女にだらしない奴は嫌いだ」
怒られて若干拗ねたような顔のルドガーは、あなたをぎゅっと抱きしめる。
出発前にしてはやたらと長いハグに、あなたもだんだんと表情を和らげた。
「格好いいね、ルドガーは。そんなところも好きだよ。交尾のこと話したときは引いたけど」
「それは悪かった。気をつけよう。もう言わないぞ」
「そうだよ。二人の秘密のやり取りなんだから。愛し合うのは、私達だけの大切な行為でしょう?」
上目遣いのあなたの瞳に、ルドガーはぐっと胸をつかまれたようだ。
「そうだな。わかった。お前が正しい」
そこまでは良かったのだが。
獣の彼は、やっぱり思考がやや真っ直ぐすぎる。
「よし、じゃあ部屋に防音効果をつけよう。それでお前もたくさん声を出せる」
「……はっ? どうやってそんなことするの?」
「騎士団には結界師がいるんだ。そいつに防音魔法を貼ってもらう。もう安心だぞ、」
何を言ってるのかよく分からなかったが、あなたは首をひねりながらも、ひとまず頷いてみた。