• テキストサイズ

巨体の人外に助けられて世話される話

第5章 騎士団編


「おい、大丈夫か? ぼうっとしているぞ。こいつに何か術でもかけられたか」
「ううん、かけられてないよ、たぶん」

ルドガーは人前でも構わずあなたを抱きしめ、頭に鼻を近づけて匂いを確かめている。

そんな様子をミザロにじっと見られていたが、彼はにこりと隈のある瞳で笑んだ。

「では私はこれで。さん、また」
「あっはい。また…」

会釈をして、ゆっくりとルドガーに向き直る。
あなたは少し心もとない眼差しで、いつもと同じように彼に身を預けていた。

「匂い、ついたの? またそんなにクンクンして」
「いいや……無臭だ。だからあいつはきな臭いんだ」

舌打ちをしたルドガーの腕の力が強まる。

匂いも残さず、気配もほとんどないとは。
おそらくとても強い、不可思議な魔術師である。

「まあ大丈夫だよ。いい人だと思うし、たぶん……」
「良い奴ではないぞ。あの魔術師はゼイラン様の犬だ」

吐き捨てるように言ったあと、彼は一瞬複雑な表情になった。
それを見逃さなかったあなたは、大きな背中をさするように撫でる。

「そうなの? じゃあ味方だよね」

自然に言葉が出ると、ルドガーははっとなってあなたを見つめる。

曇っていた瞳が、少しだけ落ち着きを取り戻し、澄んでいくようだった。

「……ああ、そうだな。味方だ……」

頭上から軽い息が届き、あなたも呼応して頷く。

ルドガーには主人に対しての忠誠心と誇りがある。
それはもう十分に感じてきたことだ。

だからこの、魔術師や騎士がいて本来居心地の悪そうな騎士団にも、大人しく滞在しているのだろう。

ゼイランはそんな彼に対し、家族のような愛情を持っているように見えた。

だから自分のことも、もしかしたらまだ怪しんでいるのかもしれない。

少しドキドキしていたが、自分の過去については、あなたが教えてほしいぐらいだった。

それにここにいれば、いつか何か分かるかも。
そんなふうに少しだけ楽観的に、考えることにした。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp