• テキストサイズ

巨体の人外に助けられて世話される話

第5章 騎士団編


そしてある日。ルドガーは任務に出かけていて、あなたは一人で領内にいた。
気をつけろと念を押されてはいるが、彼はここに閉じ込めているわけではない。

自由に出歩いていいと言われたし、公園のような広場に佇んだり、食堂にでも行ってみようかと思ったのだ。

「わぁ、ドキドキする〜。でもここは安全だもんね。誰も近づいてこないし」

まだお洒落はしておらず、動きやすい服装だが、あなたは時々ぴたりと立ち止まって周りを見渡す。

すると濃色の制服の騎士たちが、こちらを見ていたかと思ったら、さっと瞳をそらした。

「やっぱり……なんか見られてるよね」

ぼそっと呟き、何も気にしてない風に装い、また歩き出した。

話しかけられない一方で、屈強な男達の視線はなんだか気まずい。
少なからず異分子の自分が警戒されてるみたいだ。

そのまま外を歩いていると、不気味な空気が漂う暗い建物を見つけた。

うまく言えないが、薄紫色の空に向かって、尖塔から黒い霧のようなものが立ち上ってる感覚がする。

「ここ、なんだろう……?」
「そこは、魔術師塔ですよ。さん」

突然後ろから声をかけられ、あなたは反射的に振り向いた。
気配なく立っていたのは、黒ローブをかぶった陰のある男性だ。

顔は青白く、目の隈が深い。フードの隙間から、白っぽい瞳ににやりと見つめられて肩がすくんだ。

「あの……誰でしょうか」
「失礼。ミザロと申します。私のことを覚えていませんか? あなたと獣の彼を街まで転移魔法で送った者です」

彼はそう明かすと、手を腹の前におき、仰々しくお辞儀をした。

あなたは影の薄かったあの時よりも、彼から強い自我を感じ取り、目を逸らせないでいた。
/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp