第5章 騎士団編
「ふふ。じゃあもっと温かみのある部屋になるよ。そうだ、荷物ほどこう!」
もう少しあなたと触れ合いたそうな彼の腕から下り、さっそく届いていた箱を開けていく。
近くのベッド脇の棚には、まず大切な花のガラスケースを飾り、満悦した。
ここは白を基調とした落ち着いた造りで、暖炉も木彫りの家具もなかったが、間取りは前とよく似ていた。
リビングから仕切られた場所に大きすぎる彼用のベッドがあるだけで、小屋を思い出して落ち着く。
「そういえば、もうあの小屋には帰らないんだなぁ。ちょびっとだけ寂しくもなるね」
「そうだな。二人で初めて過ごした場所だからな」
獣なので情緒的な思いは伝わらないと思ったが、彼も感慨深げに頷いてくれて、あなたは嬉しくなる。
「だがここはもっと安全だ。仕事が終わったら、俺は早めに帰ることもできる」
「それ一番嬉しい~」
「ふっ、素直なやつだな。……だが、安全じゃない奴らもいる。気をつけろよ、」
あなたの頭を撫でる彼の顔つきが、一瞬険しくなる。
「……えっ? 怖いこと言わないでよ。誰それ?」
「今は知らなくていい」
そっけなく述べた彼の表情が気になった。
いつもこうして秘密主義になるのだ。
それはあなたを一番に考えているからだと、分かってはいるのだが。
「あの、すみません。隣に引っ越してきたルドガーとです。誰かいますか?」
「おい、そんなことはしなくていい。俺は前からここに住んでいる」
でも自分は初めてだしと、初日に挨拶ぐらいしておきたいあなたは、律義に菓子折りを持って立っていた。
「ここに住んでいるのはさっき言った良くない奴だ。近づくなと教えただろ」
「――それは俺のことかな? 君、そんなふうに思っていたんだ」
突然ドアの向こうから出てきた男性を見て、あなたは目を剥いた。
ゼイランもびっくりなほど、シャツを異常にはだけさせた肌白い、明るい金髪の美男子だった。
タレ目がちの彼は午後の気怠げさを醸しながら笑む。尖った耳をぴくりと揺らし、二人を見つめていた。