第4章 新たな始まり編
「――、それで全部か? 好きなものは何でも買え、遠慮するなよ」
「ありがとう。あとは下着店で最後なんだ」
ルドガーはそう言ってくれたが、店に立ち寄るたびに近くで見守り、警戒心を解いていない。
かなり疲れるんじゃないかと思った。
これまではすべて順調だ。こじんまりとした個人商店であなたは選ぶだけで、彼が購入してくれ、隣に目立たぬようについているだけでいい。
だが問題は次の下着店で起こった。
「あ、ここ、ここ。うわあ、すっごい派手なお店じゃない。なにこのセクシー下着!」
大きなガラス窓に立つマネキンには、きらびやかなレースつきの下着がずらりと並んでいる。
ガーターベルトまであって、魔族と体型も違う自分に似合うのだろうかと及び腰になった。
しかし中から綺麗なお姉さんが呼び込みをしており、あなたはおずおずと近づいていった。
「あらぁお嬢ちゃん、どうしたの。入りたいの」
「は、はい。いいですか?」
「もちろんいいわよぉ。……ってちょっと、そこの大男さん、あなたは外で待っててちょうだい」
背の高い魔族の女性がルドガーに目を光らせた。
確かにこのピンク色の店内に、仏頂面をした軍人が入ってきたら、ほかの女性客は怯えるかもしれない。
「ルドガー、悪いんだけどちょっと外で待っててくれる? すぐ終わるから」
「なぜだ? どうして俺は入れない。怪しいな……中に何か隠しているのか?」
「はあ? 何かってここにはブラジャーしかないわよ。獣人のお兄さん、地位のある人なのかもしれないけどねえ、ここは女の園なの。この子は大丈夫よ、私が見繕ってあげるから」
彼女は彼を落ち着かせるようにウインクし、あなたもなだめる。
するとルドガーは鋭い眼差しながらも、店から数メートル離れたところで仁王立ちになり、じっと様子を見ていた。