第4章 新たな始まり編
魔界にある街に降り立ち、フードを被ったあなたは口を開けたまま周囲をぐるりと見渡す。
綺麗に敷き詰められた石畳に、巨大な灰色の建造物。広場も噴水も大きく、魔神っぽい彫像が遠くに建っている。
「す、すごい……全部がでかい……ルドガーサイズみたい!」
「……くくっ。なんだそれは。ここは都会なだけだ。それに俺は奴らより大きいほうだ。ほら、こっそり見てみろ」
彼が示す人々を注意深く見ると、小屋の警護の軍人よりも細い普通サイズだ。
確かにルドガーはひときわ体格がいいのだと知る。
この街は騎士団がある街で、ルラ・パルセというらしい。
魔王が住む王都に隣接する、軍事的にも重要な都市のようだ。
「ゼイラン様がこの街を見守る公爵って、本当なの? あんな一見ただの偉そうなお兄さんが?」
「そうだが……お前は怖いもの知らずだな、。お前以外にそんなことを言う者はいないだろう」
街を歩くルドガーの横顔が、あなたが何か話すたびに柔らかくなる。緊張感のある中でも、それが嬉しかった。
手ぐらい、繋いでいいかな?
そう思ったけれど、あなたは我慢して黒ローブを前できゅっと閉めて気をつけていた。
買い物の目的は、衣類や化粧品、下着などだ。
彼に言うのは少し恥ずかしかったが、騎士団には大勢男性がいるため、人の目を気にするのは当然のことでもあった。
なにより、ルドガーがもっとお洒落をした自分を見たら、どんな反応をするのか楽しみだった。
実は今日の前に、あなたが小屋でひとり、秘密にやっていたこともある。
「守護者さま、守護者さま。今は一人ですよ。どうか出てきてください。相談したいことがあるんです」
『なんだ。』
「早い! ひどいじゃないですか、この前ゼイラン様が来たときは全然現れてくれなかったのに!」
そう突っ込むと彼女には無視された。
「でも偉いでしょう? 半分ぐらいは認めてもらえたんですよ。今度騎士団に住むんです」
『それはよかったな。だが騎士団か……』
あっさり受け取られ、やはり味方なんだと一瞬湧きたったが、彼女は場所に難色を示していた。
一方あなたは少し罪悪感がわく。ルドガーと彼の主人に対してだ。
スパイじゃないと言ったのに、こうしていつの間にか心を開き、声の主に喋ってしまってることに。