第4章 新たな始まり編
「んっあっ、ルドガーっ、落ちちゃうよぉっ」
「大丈夫だ。俺がしっかり抱えてる。お前は絶対に落ちない」
「もう! こんな体勢で洗えないでしょうっ」
木造風呂場の湯気が立つ中、あなたは彼の腰の前で足を開き、壁を背にして押しつけられていた。
確かに密着して支えられてるが、ゴツゴツした手が上半身や太ももを泡ですべり、変な声が出る。
「んあぁぁ……興奮しすぎだよ、ルドガー…」
「……っ……他のオスの匂いが嫌なだけだ」
彼は一心不乱に、でも丁寧に体を洗ってくるものだから、あなたは段々と優しく眉を下げる。
「またオスとかメスって……すぐ気にするんだから。ゼイラン様は主人でしょう?」
「……分かっている……彼は敵じゃない。お前には何もしない」
視線を落としたルドガーの黒いまつ毛を見ていると、切なくも愛情がわいてきた。
手を伸ばし、うねる黒髪とそこから生えている黒角を撫でる。
いつもは届かない、寝てるときしか見ることのない彼の髪が好きだった。
「……お前に触れられるのは好きだ……」
同じように思ってくれたルドガーは、心地よさそうに目を閉じて感触を味わっている。
だが、きゅっと瞳が揺れる。
「この思いにはきっと一生慣れないだろうな。お前は魅力的だから……他のオスに奪われたくないんだ」
言葉尻をやけに弱くして、彼は吐露した。
「お前を閉じ込めているのは嫌だが、外に出したら、もっと男の目に触れてしまう」
「……もう。大丈夫だってば。ルドガーだけだよ、そんなに好きになってくれるの。それに他のオスなんて見たりしないから。ね?」
胸を灯す愛おしい気持ちで撫で続けていると。
彼の顔つきが上気し、瞳は濡れて恍惚と見つめ、口元は呼吸が上がってきた。